【生徒さんの成長】「自分はバカだから」役に立たない思い込みをにぎりしめた生徒さんとの3年間
日本国語力育成会代表の田添です。
嬉しいことは記録しておかないと💦
今日は生徒さんの成長のお話しです。
しゃべらない生徒と忍耐の3年間
中学受験のために受講を始めた生徒さんは、
中学受験が終わると指導を終了するパターンが多いです。
しかし、中学受験後もずっと受講を続けている生徒さんがいます。
Aさんは出会った頃、あまりしゃべりませんでした。
彼女から発せられる言葉は「うん」「いや」くらいでした。
Aさんの問題は、覚えることがとても苦手で、苦痛を感じていること。
長文読解をすると、目の前にある文のことしか見えない。
文章内容の全体把握が困難で、読解の正しい解き方がなかなか定着しませんでした。
しかしそれよりも、何よりも良くなかったのは
「自分はバカだ」と思い込んでいること。
「周りに『お前はバカ』だって言われる」「どうせ自分はバカだから無理」という言葉がチラホラ。
一歩進んでも三歩下がるという日々。
国語で困っている子は、大体の子が思考のクセと思い込みが強烈なので
私は、同じことを定着するまで繰り返しました。
放っておくとまた元の役に立たない思い込みの領域に戻ってしまう。
「確かにできてない問題もあるね。でもこっちはできたよ」と出来たことを強調し、目を向けさせるようにしました。
そんな指導を忍耐強く続け、約3年の月日が流れました。
「役に立たない思い込みを捨てさせたい」と思っていました。
”自信の種”をまいて、水を注ぎ続けた日々だったと思います。
Aさんの変化① 伝えようとするようになった!
Aさんが変わり始めました。
変化の兆しは、雑談をするようになったこと。
私は授業の最初に必ず「報告、連絡、ニュースがあったらお願いします!」と言います。
成績のことでも、日常生活のことでも、ゲームのことでもいい。
正しい日本語で伝えるための練習です。
国語ができない子はほぼ100%、「ない」「別に」「ありません」と言います。
もしくは適当にやり過ごそうとします。
しゃべるための言葉選びが面倒、
しゃべるためのエネルギーがもったいないという感じです。
周りの大人が先回りして、自分の要望をくみ取ってもらうことに慣れているのでしょう。
「そんなのはどうでもいいから、早く授業してよ!」という感じ。
(あのね、私は無駄なことは一切していないのですよ…?)
雑談を無駄と決めつけて、ないがしろにする子が多いのですが、実は雑談は国語力の土台を作る要素です。
国語は自分の思いを伝えるためのツール、人と繋がるためのツールなのです。
さて、Aさんもいつも「ない」と低い声で言うだけでしたが、
徐々に拙いながらも、伝えようとするようになっていました。
「あんなぁ、今日、学校で・・・」
今の若者言葉で話されると、昭和生まれは珍紛漢紛な時が多々ありますが(笑)、
「誰にでもわかる言葉を使いなさい」と指導して言い直しをさせます。
Aさんが、つたない日本語でも、精いっぱい伝えようとするようになったことは驚くべき成長でした。
「この人はバカにしないで聞くらしい」と伝わったのかもしれません。
実際に私は常に全力で耳を傾けて、生徒の一言一句、見逃さないようにして、思考を分析しています。
鬱陶しいかもしれませんが…(笑)
Aさんの成長② 初めての100点!
Aさんが通う中学校は進学に力を入れているため、先取り学習をしています。
もう古典文法をしているということでした。
古典文法は、最初をしっかり学習しないと後から訳が分からなくなります。
暗記が苦手なAさんも行き詰まりました。
言葉の単位から指導して、しつこく、知識を整理させながら進めました。
公立高校入試問題の古文の読解問題を解かせたところ、
今週、初めて満点を取りました!!
初めて読んだ古文だったそうで、二人でビックリしました。
古文の音読をさせたら、流れるように読むではないですか…ほぼ完璧にできている…(◎_◎)✨
「できるようになってきた、って実感はある?」と尋ねました。
すると・・・
「うん、なんかわかってきた。少し自信がついてきた」
とはにかみながらも、嬉しそうに…( ;∀;)
いつも「自分はバカだから」と言っていたAさんの口から出てきた言葉。
Aさんの顔が変わったように見えました。
自分は頑張ったらできると徐々に分かり始めたのです。
さあ、ここから。
Aさんの進撃はここからです。
生徒さんの成長の一瞬に立ち会えた授業でした。