「何を書けばいいのか分かりません。」
作文や小論文を指導していると、
とても多く聞く言葉があります。
「自分の考えがありません。」
「何を書けばいいか分かりません。」
しかし、私はこの言葉を聞くたびに、
「本当にそうだろうか。」
と思います。
実は、人は誰でも何かしら考えています。
ただ、その考えに気付いていないだけなのです。
「興味がない」も立派な意見
以前、添削を受講していた生徒さんから、
こんな質問をいただきました。
「自分の考えが思いつかないときは、どうすればいいですか?」
私はこう答えました。
「『興味がない』も立派な意見ですよ。」
好き。
嫌い。
知っている。
知らない。
興味がある。
興味がない。
これらはすべて、
その人自身の感じ方です。
つまり、
もう立派な「自分の考え」なのです。
作文が苦手な子は「考えがない」のではない
では、
なぜ作文が書けないのでしょうか。
それは、
「興味がない」と感じたことを悪いことととらえているから。
「興味がないと書けない」と思い込んでいるから。
そして
考えがないのではなく、考えを深める習慣がないから。
例えば、
「興味がない。」
と思ったら、
そこで終わるのではなく、
- なぜ興味がないのだろう。
- いつからそう思っているのだろう。
- 自分と関係があるとしたら何だろう。
このように問いかけていくと、
少しずつ言葉が出てきます。
作文とは、
「考えを書くこと」ではなく、
**「考えを育てること」**でもあるのです。
自分事にすると世界が広がる
私はこの力を
「自分事化(じぶんごとか)する力」
と呼んでいます。
どんな話題でも、
「これは自分とどう関係があるだろう。」
と考えられる人は、
世界がどんどん広がっていきます。
反対に、
「知らない。」
「興味がない。」
だけで終わってしまうと、
世界は広がりません。
作文は、
文章を書く勉強ではなく、
世界を広げる練習でもあるのです。
国語力とは「自分と社会をつなぐ力」
国語の勉強というと、
漢字や読解問題を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、本当の国語力とは、
文章を読むことだけではありません。
自分と社会。
自分と相手。
自分と出来事。
これらを結びつけ、
自分の言葉で考えられること。
私は、それも国語力の大切な一つだと思っています。
おわりに
作文を書くことは、
正しい答えを書くことではありません。
自分の中にある小さな考えを見つけ、
少しずつ育てていくことです。
「興味がない。」
その一言からでも構いません。
そこから、
「なぜだろう。」
と問いを重ねていく。
その積み重ねが、
作文だけではなく、
人生を豊かにする「考える力」につながっていくのです。
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