📚 答案診断シリーズについて
このシリーズでは、保護者の方のご承諾をいただいた実際の答案をもとに、個人が特定されないよう十分配慮したうえで、一部内容を加工して掲載しています。
答案を通して見えてくる「思考の特徴」や「国語力の課題」を分かりやすくお伝えし、ご家庭での学習にも役立てていただければ幸いです。
はじめに
日本国語力育成会では、答案の「正誤」だけを見るのではなく、その子の「思考」を診断しています。
同じ間違いでも、原因は一人ひとり異なります。
今回ご紹介するのは、入会したばかりの小学6年生の説明文の要約です。
※個人が特定されないよう、一部内容を編集しています。
今回の症例
小学6年生・説明文(約900字)
入会後、初めて説明文の線引きを学び、その後、要約に挑戦しました。
小学生に「要約してね」と言っても、何を書けばよいのか分からない子がほとんどです。
そこで私は、こんな声掛けをしています。
「仲良しのお友達に『この文章はこんなお話だったよ』と教えてあげるつもりで書いてみよう。」
要約とは、文章を短くすることではありません。
筆者が伝えたいことを、自分の言葉で相手に伝えることです。
問題
次の説明文を要約しなさい。
難しければ、仲良しのお友達に内容を教えてあげるつもりで書いてみましょう。
字数は気にしなくて構いません。
説明文の線引きで印を付けた部分も活用してみましょう。
生徒さんの答案(添削前)
夜に咲く花の匂いは胸いっぱいに広がります。香りは他にもいろんなところで活躍します。たとえば、夜に咲く花は香りがとても強く、香りに敏感なハエに届きます。そして花は効果的にハエを寄せ付けています。香りの世界はとても複雑で奥深いのです。
診断結果
症状
- 要約ではなく、本文の内容を並べた状態になっています。
- 文と文のつながりが弱く、文章全体のまとまりがありません。
しかし、ここで大切なのは、
初めての要約で、最後まで書き切れたことです。
記述問題は、まず「書く」ことが第一歩。
最初の一歩を踏み出せたことは、大きな成長です。
原因
今回の答案から見えてきた課題は2つありました。
① 説明文の「話題」をつかめていない
説明文には、必ず
「この文章は何について書かれているのか」
という話題があります。
その話題をつかめていないため、
大切な部分と具体例が同じ重さになってしまいました。
② 要約の役割を理解できていない
要約とは、
本文の文を並べることではありません。
筆者が一番伝えたい内容を整理して伝えることです。
まだその考え方が身に付いていない段階でした。
処方箋
今回の生徒さんは、
要約の練習を繰り返す前に、説明文の読み方そのものを身に付けることが大切です。
次の3つを繰り返します。
- 説明文を音読し、文章のリズムを身に付ける
- 線引きを使って話題を整理する
- 「筆者が一番伝えたいこと」を探す練習をする
この土台ができると、何をどうしたらいいかが分かるので、要約は書きやすくなります。
※音読の詳しい方法については、別記事「説明文読解に効果的な6種類の音読法」で紹介しています。

改善後の答案
夜に咲く花の香りは暗闇での存在感をきわだたせます。その匂いを感じる臭覚は、視覚に訴える色や形と同じぐらい重要です。さらに植物の香りは揮発性の化学物質によるもので、いくつもの化学物質が絶妙に混ざり合って醸し出されています。香りの世界はとても複雑で奥深いものなのです。
最初の答案と比べると、
指示語や接続語を活用したことで
文章全体にまとまりが生まれ、
「香り」という話題を意識して書けるようになりました。
最後のもっとも重要な文に根拠を示すことができています。
もちろん、まだ改善点はあります。
しかし、この一歩はとても大きな前進です。
最初に提出したものと、今回出来上がったものを読み比べて
変化を感じさせたいところです。
今日の診断ポイント
今回の答案から見えた課題は、
「要約が苦手」なのではなく、説明文の読み方がまだ身に付いていなかったことでした。
説明文を読むときは、
① この文章は何について書かれているのか(話題)
② 筆者が一番伝えたいことは何か(主張)
この2つを意識するだけで、読解力は大きく変わります。
そして何より大切なのは、
初めての要約で完璧を求めないこと。
子どもは、書いて、考えて、修正する中で少しずつ読解力を育てていきます。
「答案診断」とは?
日本国語力育成会の「答案診断」は、単に○×を付ける添削ではありません。
答案の向こうにある**「思考の癖」**を診断し、
- なぜ間違えたのか
- どこで考え方がずれたのか
- どうすれば伸びるのか
を明らかにします。
同じような間違いを繰り返さないためには、答えを覚えるのではなく、考え方を育てることが大切です。
一枚の答案には、その子の成長のヒントがたくさん詰まっています。
日本国語力育成会では、これからも実際の答案をもとに、「答案の向こうにある思考」を診断していきます。
答案の向こうにある『思考』を診断します。
お子さんの答案を診断してみませんか?
「どうして国語だけ伸びないのだろう?」
「何が原因なのか分からない。」
そんなときは、答案を見れば見えてくることがあります。
日本国語力育成会では、お子さん一人ひとりの答案を丁寧に診断し、課題と改善方法をご提案しています。
▶ 答案診断についてはこちら

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