答案診断 Case001 初めて要約に挑戦した小学6年生|要約にならない本当の原因とは?

日本国語力育成会「答案診断 Case001」のサムネイル。『答案の向こうにある「思考」を診断します。』というキャッチコピーと、赤ペンで添削された答案用紙、Case001のバッジが配置されたシリーズ用デザイン。 答案診断

📚 答案診断シリーズについて

このシリーズでは、保護者の方のご承諾をいただいた実際の答案をもとに、個人が特定されないよう十分配慮したうえで、一部内容を加工して掲載しています。

答案を通して見えてくる「思考の特徴」や「国語力の課題」を分かりやすくお伝えし、ご家庭での学習にも役立てていただければ幸いです。

はじめに

日本国語力育成会では、答案の「正誤」だけを見るのではなく、その子の「思考」を診断しています。

同じ間違いでも、原因は一人ひとり異なります。

今回ご紹介するのは、入会したばかりの小学6年生の説明文の要約です。

※個人が特定されないよう、一部内容を編集しています。


今回の症例

小学6年生・説明文(約900字)

入会後、初めて説明文の線引きを学び、その後、要約に挑戦しました。

小学生に「要約してね」と言っても、何を書けばよいのか分からない子がほとんどです。

そこで私は、こんな声掛けをしています。

「仲良しのお友達に『この文章はこんなお話だったよ』と教えてあげるつもりで書いてみよう。」

要約とは、文章を短くすることではありません。

筆者が伝えたいことを、自分の言葉で相手に伝えることです。


問題

次の説明文を要約しなさい。

難しければ、仲良しのお友達に内容を教えてあげるつもりで書いてみましょう。

字数は気にしなくて構いません。

説明文の線引きで印を付けた部分も活用してみましょう。


生徒さんの答案(添削前)

夜に咲く花の匂いは胸いっぱいに広がります。香りは他にもいろんなところで活躍します。たとえば、夜に咲く花は香りがとても強く、香りに敏感なハエに届きます。そして花は効果的にハエを寄せ付けています。香りの世界はとても複雑で奥深いのです。


診断結果

症状

  • 要約ではなく、本文の内容を並べた状態になっています。
  • 文と文のつながりが弱く、文章全体のまとまりがありません。

しかし、ここで大切なのは、

初めての要約で、最後まで書き切れたことです。

記述問題は、まず「書く」ことが第一歩。

最初の一歩を踏み出せたことは、大きな成長です。


原因

今回の答案から見えてきた課題は2つありました。

① 説明文の「話題」をつかめていない

説明文には、必ず

「この文章は何について書かれているのか」

という話題があります。

その話題をつかめていないため、

大切な部分と具体例が同じ重さになってしまいました。


② 要約の役割を理解できていない

要約とは、

本文の文を並べることではありません。

筆者が一番伝えたい内容を整理して伝えることです。

まだその考え方が身に付いていない段階でした。


処方箋

今回の生徒さんは、

要約の練習を繰り返す前に、説明文の読み方そのものを身に付けることが大切です。

次の3つを繰り返します。

  • 説明文を音読し、文章のリズムを身に付ける
  • 線引きを使って話題を整理する
  • 「筆者が一番伝えたいこと」を探す練習をする

この土台ができると、何をどうしたらいいかが分かるので、要約は書きやすくなります。

※音読の詳しい方法については、別記事「説明文読解に効果的な6種類の音読法」で紹介しています。

読解力がぐんぐん伸びる!20年の国語教師が実践する6種類の音読法
音読は読解力を育てる最も効果的な学習法の一つです。20年以上国語を指導してきた経験から、読解力・国語力を伸ばす6種類の音読法を詳しく紹介。家庭ですぐ実践できる具体的な方法を解説します。

改善後の答案

夜に咲く花の香りは暗闇での存在感をきわだたせます。その匂いを感じる臭覚は、視覚に訴える色や形と同じぐらい重要です。さらに植物の香りは揮発性の化学物質によるもので、いくつもの化学物質が絶妙に混ざり合って醸し出されています。香りの世界はとても複雑で奥深いものなのです。

最初の答案と比べると、

指示語や接続語を活用したことで

文章全体にまとまりが生まれ、

「香り」という話題を意識して書けるようになりました。

最後のもっとも重要な文に根拠を示すことができています。

もちろん、まだ改善点はあります。

しかし、この一歩はとても大きな前進です。

最初に提出したものと、今回出来上がったものを読み比べて

変化を感じさせたいところです。


今日の診断ポイント

今回の答案から見えた課題は、

「要約が苦手」なのではなく、説明文の読み方がまだ身に付いていなかったことでした。

説明文を読むときは、

① この文章は何について書かれているのか(話題)

② 筆者が一番伝えたいことは何か(主張)

この2つを意識するだけで、読解力は大きく変わります。

そして何より大切なのは、

初めての要約で完璧を求めないこと。

子どもは、書いて、考えて、修正する中で少しずつ読解力を育てていきます。

「答案診断」とは?

日本国語力育成会の「答案診断」は、単に○×を付ける添削ではありません。

答案の向こうにある**「思考の癖」**を診断し、

  • なぜ間違えたのか
  • どこで考え方がずれたのか
  • どうすれば伸びるのか

を明らかにします。

同じような間違いを繰り返さないためには、答えを覚えるのではなく、考え方を育てることが大切です。

一枚の答案には、その子の成長のヒントがたくさん詰まっています。

日本国語力育成会では、これからも実際の答案をもとに、「答案の向こうにある思考」を診断していきます。

答案の向こうにある『思考』を診断します。

お子さんの答案を診断してみませんか?

「どうして国語だけ伸びないのだろう?」
「何が原因なのか分からない。」

そんなときは、答案を見れば見えてくることがあります。

日本国語力育成会では、お子さん一人ひとりの答案を丁寧に診断し、課題と改善方法をご提案しています。

答案診断についてはこちら

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